これだけは知っておきたい歯周病の知識〜歯周病と歯間ブラシ〜
歯周病は、虫歯と同じ位、私達を困らせる口内トラブルです。
「最近歯茎の調子が悪い…」、「歯を磨くと血が出る…」という方は、歯周病のサインかもしれません。
しかし、歯周病の症状で本当に怖いのは、歯茎の下に隠れている骨が溶けること。
実は、私達の目には見えないところで、大変な事態が起きているのです。
今回は、そんな歯周病と、歯周病の進行を防ぐ歯間ブラシについてお話したいと思います。
●骨が溶ける?! 歯周病の原因と症状とは
歯周病を引き起こすのは、虫歯と同じく口内細菌です。
(詳細を話すと長くなりますので、今回はひとまず歯周病菌と言っておきます。)
歯周病菌は、虫歯菌のように酸を発生させることはありませんが、感染すると歯茎に炎症を起こします。
炎症と一言で表しても歯周病の症状は、十人十色。
歯茎が腫れる、血が出る、痛みを感じるなど、その症状は段階によって様々で、それら全てをまとめて歯周病といいます。
歯茎が腫れる歯肉炎は小さなお子さんでもなりやすいのですが、歯周病の多くは、慢性炎症といってあまり痛みを感じず、危機感を覚えにくいという困った特徴があります。
そのため、長い間歯肉炎を放置し、痛みを感じる頃には、相当歯周病の症状が進行している、なんてことにもなりかねません。
歯周病が進行すると、恐ろしいことに、歯周病菌やその他の口内細菌の影響で、歯茎の下で歯を支えている骨が徐々に溶け始めます。土台であるはずの骨が溶ければ、歯茎には隙間ができ、歯はグラグラと不安定に…それでも歯周病を放置し続ければ、最終的には歯が抜け落ちてしまいます。
●歯周ポケットと歯間ブラシ 口内環境を守るには
歯周病によって骨が溶け始めると、歯茎は下がり、一般的に「歯周ポケット」と呼ばれる溝が生じます。
歯周ポケットには、食べかすが溜まりやすくなるのですが、細菌である歯周病菌は当然、汚れた口内環境が大好き。放っておくと、ますます歯周病菌の動きが活発になり、歯周病が進行、歯周ポケットはさらに深くなっていきます。
そして、汚れた口内環境が大好きなのは、虫歯菌も同じ。歯周ポケットの食べかすを餌に、虫歯もどんどん増えていきます。
つまり、歯周病は歯茎だけでなく、口内環境全体に悪影響を及ぼす存在だと言えるのです。
厄介なのは、歯周ポケットに溜まった食べかすは、普通の歯ブラシでは除去しきれないということです。
そこで、カタギリデンタルでは、歯周ポケットのメンテナンスとして、歯間ブラシの使用が大切だと考えます。
歯間ブラシは、歯ブラシやフロスでは届かないような隙間に入り込むことができ、歯周病で腫れてしまった歯茎でも使用することが可能です。
歯間ブラシのサイズや形状には色々とありますので、自分の歯茎や、歯周ポケットの状態を考えて適切なものを選んでください。
なお、サイズの合わない歯間ブラシを使用して、むしろ歯茎を傷つけてしまう場合もありますので、分からないことがあれば歯科医院で相談することをおすすめします。
歯間ブラシの使用によって、歯周病菌や虫歯菌の動きを阻止しましょう。
●現在残っている歯や骨を守るために
さて、歯周病には歯間ブラシが有効だということは、ここまで説明したとおりです。
しかし、骨が一度溶けてしまった以上、残念ですが、元に戻すことはできないと考えておいてください。
最近は、溶けてしまった骨を再生させる「再生療法」も進歩しているものの、非常に複雑な治療で、ものによっては外科手術が必要です。
また、骨の欠損の状態によっては、不可能な場合もありますし、100%以前と同じ状態にはなりません。
患者さんご本人にとっても、金銭的、精神的、体力的に負担の大きい治療と言えます。
そういった事情も鑑みて、カタギリデンタルでは、元々の歯や骨を大切にする治療が最優先だと考えます。
もちろん、インプラントなどの人工物を使用する治療を否定する気はありません。
しかし、それらはあくまでも人工物。歯科医院によって技術の差も生じますし、見た目がいくら綺麗でも元々の歯にはかないっこないのです。
現在残っている歯や骨を守りつつ、最適な結果をもたらす治療とは一体何なのか。
カタギリデンタルでは、あらゆるバランスを考慮しながら、ひとりひとりの患者さんに対して、オーダーメイドの治療をしたいと思っています。
疑問点や不安を解決しながら、一緒に治療していきましょう。
意外に知らない!?どうして?むし歯になってしまう理由について
今回は、皆さんに虫歯のことを少しでもわかりやすくお伝えできたらと思います。どうして虫歯になるのかについての悩みなどをお伝えしていきたいと思います。
ご覧のように歯を失う原因のほとんどは歯周病と虫歯です。歯周病や虫歯のことでお困りになっている方々は本当にたくさんいらっしゃいます。そして残念なことに、困っている方々のほとんどは、もうどうにもならない位進行してしまっている事が多いです。
- もともとの自分の歯やお口の中に原因がある場合
- 自分の歯以外の生活習慣に原因がある場合
自分の歯に原因がある場合 と言うのは生まれつき歯の表面がもろいということが挙げられます。また唾液が少ないと、とても虫歯になりやすくなります。これは唾液の作用でお口の中が酸性から中性に保たれ、虫歯をなりにくくしてくれているからです。唾液はお口の中でいろいろな作用があり私たちを守ってくれています。お年を召した方で、お口の中の唾液が少なくなることがよくありますが、そうなると虫歯が多発してしまいます。
では先程のスライドを見直してみましょう。歯の表面がもろいと言うこと以外は酸の発生や酸性に偏ることが原因であると言うことがはっきりとわかると思います。
意外に知らない!?むし歯予防に絶大な効果を発揮するフロスの役割と勘ドコロ
歯間の汚れを取り除くフロス。
カタギリデンタルでも、フロスは歯磨きと同じ位大切なものと考えていますが、患者さんの中には、どうもピンとこない方が多いようです。
それは、もしかするとフロスが持つ本当の役割を知らないからなのかもしれません。
今回は、フロスの役割と習慣化するためのポイントについてお話します。
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フロスは目に見えないところで虫歯菌と戦ってくれている
まず、フロスの本当の役割を最初に言ってしまうと、それは「虫歯の原因となる細菌の働きを食い止める」ということです。
歯磨きだけの場合、私達の口の中には、約40%の食べかすが残っていると言われています。実は、これが口内細菌の大好物。いわゆる虫歯菌は、この食べかすを栄養に酸を発生させ、歯の表面を溶かしていきます。
そして、少しでも歯の表面が溶けてしまった私達の口内では、こんな状況が起きます。
①虫歯菌の酸によって、歯の表面が溶け、少しずつ穴があいていく
②穴があくと、さらに食べかすが詰まる
③食べかすを栄養にした虫歯菌が、酸を発生させる
…(①に戻る)
このように、虫歯菌が食べかすによって活発になってしまうと、悪循環のスタートです。
歯間から虫歯になりやすいと言われている理由も、実はこの食べかすと虫歯菌による悪循環が原因。ゆくゆくは、痛みと治療を伴うほどの虫歯に成長してしまいます。
しかし、フロスによって歯間の食べかすを取り除けば、虫歯菌に栄養を与えることがなくなるため、この悪循環を根本から断ち切ることが可能です。
つまり、「フロスが歯間の汚れを取り除く」という意見も正解ではあるのですが、フロスの本当の役割は、私達の目に見えない場所で虫歯菌と戦うところにあるのです。
それでも目に見えない虫歯菌についてイメージが湧きづらい…という方は、真夏のごみ置き場を想像してみてください。
真夏のごみ置き場は、約37度の温度と高い湿度、そして、あらゆる細菌がいるという点で、私達の口内と共通しています。
もちろん極端な例ですし、口内細菌が全て悪者というわけでもありませんが…
ゴミ置き場での細菌の繁殖を考えると、フロスのもたらす効果がより身に染みるかもしれません。
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フロスは、あなたのできる頻度で続けましょう
突然ですが、カエルが、外部の温度によって体温を変化させる「変温動物」であるのに対し、私達人間は、時間や時期に関係なく体温を一定に保つ「恒温動物」です。
それは、恒温動物である私達の口内環境も一生変化することがない、つまり、細菌が繁殖しやすい口内環境と一生付き合っていかなくてはならない、ということでもあります。
そこで、カタギリデンタルでは、「フロスはあなたのできる頻度で続けましょう」とお薦めしています。
毎日フロスをした方が好ましいのは否定できませんが、一生付き合っていくからこそ、習慣化できなくては意味がありません。何よりも、自分が面倒くさくならない範囲で続けることが大切だと考えます。
「それでは、あっという間に虫歯菌が繁殖してしまうのでは?」と心配になる方もいらっしゃるかもしれませんが、小学生の時に行った、シャーレの細菌培養実験を思い出してみてください。あの時も、数時間で細菌が急激に増殖することはありませんでした。
そう考えると、フロスの使用についてもそこまで気負いする必要はないのです。
ただ、シャーレの中の細菌も、1週間経てば目に見える程大きくなりました。
口内も当然これと同じで、食べかすを何日間もそのままにしていると、虫歯菌が日に日に増殖していきます。
フロスの適した頻度は人それぞれなので、ここで明確には言えませんが、1週間に一度、2週間に一度…など、歯科医との相談の下、自分にとって最適なフロスの頻度を見つけていきましょう。
少なくとも、これまでフロスをしていなかった方がフロスを始めるだけで、口内環境に変化が生じることは間違いありません。
さて、いかがだったでしょうか。
フロスの役割は、「歯間の汚れを取り除く」という単純なものでなく、私達を虫歯菌から守ってくるという点にその本質があります。
将来的に虫歯で困らないために、今日から少しずつフロスを始めてみませんか?
ホントは怖い!?院内感染!!〝院内での感染経路の実際と当院での対策2〟
〜チェアサイドの水消毒システム〜
前回のブログで
唾液による感染拡大が起こるルート
①術者の手指
②汚染器材
③診療台(チェア)、診療台のうがい口
④歯科治療によって舞い上がる粒子(唾液や血液、切削片など)
⑤画像検査機器(レントゲン機器など)
などが挙げられます。
その中でも術者の手指からは全ルートの80%近くを占めてると言われています。
とお伝えしました。
しかし、院内の器具表面やスタッフの手指をいくら消毒していても、チェアの配管内部はどんどん汚れていってしまいます。診療する診療台(チェア)の配管内部までは人の手で消毒することは困難です。ちょうどお住いの住宅で台所の蛇口までの配管やお風呂までの配管はどんなに汚れてしまっても自分の手で清掃することは難しいですよね。
当院ではチェアごとに水消毒システムを導入しており、常に消毒された水を使用しています。
実際に水消毒システムを行うことにより配管内の細菌数を減らすことができ、皆さんに安心してうがいなどをしていただけます。
〝フロスと歯間ブラシの使い方〟
歯科医院で1人1人の患者さんと
お口の中のケアについてお話する中でよくこういった声を耳にします。
「そんな言葉は聞いたことがない」
「フロスと歯間ブラシの違いがわからない」
「やり方を教わったけどやりにくい」
「細部までこだわった正しい使い方は知らない」
などです。
お口のケアが大事なのは知っているけど、やり方をよく〝知らない〟という方が非常に多い印象を受けます。
そこで正しい使い方を説明した動画を示しますので、是非参考にしてください。
ホントは怖い!?院内感染!!〝院内での感染経路の実際と当院での対策1〟
〜患者さんにとっての安心とは〜
患者さんの処置を行った手指から移ってきた細菌や唾液は簡単に広がってしまいます。
細菌が目に見えないからといって無意識のうちに器具や周りの物を触ってしまうと・・・
様々なことを気をつけないといけません。
感染拡大予防は医療従事者であるわれわれの重大な責務です
誰のために手指衛生を行うのか・・
手指衛生は汚染された手指から周りの物や次の患者さんへの拡大を防止します。
つまり、自分のことはもちろんのこと患者さんも保全することができます。
院内感染拡大の具体的な例を見てみましょう!
下のURLから 怖い〝院内の細菌感染拡大の仕方〟についての動画が配信されています。
Wash your Hands - it just makes sense.
カタギリ デンタルでは医療器具の滅菌方法および感染拡大防止に力を入れて〝清潔な〟歯科医院の維持を目指します。
滅菌器具はしっかり器具を滅菌してくれます。
しかし、それを扱う人が消毒や滅菌をしていく行程で
- 口の中を触った手袋で滅菌物を触る、周りの器具を触る
- 器具を消毒した手袋で周りの引き出しを触る
上記のような行動をすることで清潔な院内を汚染していくことになります。
では当院での具体的な感染対策についてお話して行こうと思います。
唾液による感染拡大が起こるルート
①術者の手指
②汚染器材
③診療台(チェア)、診療台のうがい口
④歯科治療によって舞い上がる粒子(唾液や血液、切削片など)
⑤画像検査機器(レントゲン機器など)
などが挙げられます。
その中でも術者の手指からは全ルートの80%近くを占めてると言われています。
つまり手指の消毒や手洗いがとても重要なことがわかります。
今回は上記のことの中で手指衛生について書いていこうと思います。
これからお話することは、米国疾病管理予防センター(以下 CDC と記す)が提唱している『歯科医療における感染管理のためのCDCガイドライン2003』(2003年)や『歯科における感染防止の実践』(2016年)で提唱されていることを元にしています。
グローブの取り扱い方
グローブは患者さんごとに交換しなければなりません。また、グローブは20〜30分程の使用から摩擦による表面劣化を生じ、ピンホール(肉眼では確認できないほどの孔・傷)を形成するため長時間の着用はできません。
なお、グローブを着用したままでの消毒はグローブの劣化を進めてしまうため、行いません。
使用したグローブの表面には、目では見えていなくても汚染物質が付着しています。
飛び散らないように丁寧にグローブを外すことが大切です。
グローブの種類
グローブにはゴム製とプラスチック製の2種類があります。
近年、アレルギーをもつ患者さんや医療従事者も増えています。
患者さんのラテックスアレルギーを防ぐためにもグローブの材質を選定しています。
ラテックスアレルギーとは・・天然ゴムの成分によってアレルギー反応を起こす状態(医療現場では主に手袋に使用されている)
手洗いおよび手指消毒
CDCでは以下のように提唱しています。
〝1) 手指が目に見えて汚れている場合、血液、体液などで汚染されている場合には、非抗菌性石けん(普通の固形石けんなど)または抗菌性石けん(消毒薬配合スクラブ)と流水で手を洗う。
炭疽菌が疑われる場合にも同様に手を洗う。
2) 手指が目に見えて汚れていない場合、速乾性手指消毒薬を日常的に用い手指消毒する。
代わりに抗菌性石けんと流水で手を洗っても良い。〟
米国では長年流水と石けんによる手洗いが感染対策の基本とされていましたが、近速乾性手指消毒薬の有用性が認められています。
ただ、速乾性手指消毒薬を配置すること自体が感染対策なのではなく、配置された消毒薬を用いて手指消毒の必要な場合に適切な消毒を励行することが重要です。
配置されているが消毒しないといけない時に使用できていないと意味がないということですね。
まとめ
このように見てみると 医療従事者それぞれの滅菌消毒に対する配慮が何よりも大切になる ということがお分かりになると思います。
そこで当歯科医院では安心安全な治療を目指してスタッフ1人1人の意識統一を行なっていき、医院として評価をしていきます。
そうすることで、実際消毒しているスタッフの方も行動を振り返ってフィードバックすることができ、衛生管理の質を向上することができると考えます。
今回は手指衛生について詳しくご説明しましたが、今後はその他の院内の衛生管理の取り組みについても更新していく予定です。
興味のある方は見てください。
よろしくお願いします。
ブログ設立!
みなさんこんにちは。
かたぎり歯科クリニックの院長 片桐幸大です。
私は歯科医療従事者として、少しでも色々な事柄を〝知りたい〟と思われる方に対してできる限りわかりやすく歯科医院での情報をお伝えしたいと思いました。
そういう想いからこのブログを設立しましたので、興味がある方は是非目を通してくださいね。
これまで知らなかったような事柄、知って良かったと思えるような内容を更新していけたらと思います。
院長プロフィール
大阪大学歯学部歯学科 卒業
香川大学医学部附属病院歯科口腔外科学講座 入局
医療法人社団蓮生会 蓮井歯科・ファミリークリニック 勤務
医療法人社団 裕歯科クリニック 勤務
かたぎり歯科クリニック 開院